鼻腔に凭れ掛かる何か

箱を見下ろしたら哀れなるかな、蜜柑と柿がゾンビになりかけている。

何とか食べられないかなと思って蜜柑のお尻に指を突っ込んでみるけど、
ベタベタと嫌な感じのする液体が手首を伝って床に落ちた。嗚呼。

じゃあ柿はどうだろうと思って朽葉色の蔕をぐっと持ち上げたら、
赤黒く透き通った肌に不気味な皺が寄ってドロリと力なくもげた。
ぽっかり空洞となった痕には象牙色と緑色が静かに浮いている。

ここだけナイフで抉り出したらいけるんじゃないか。
ゴミ箱の前でそっと噛み付く。


この濁った甘さの向こうで優しく手を振ってるのは誰だろう。


………。

勿体無いお化けの復讐を受けるかどうか知らないけど、
三年ほど前に暗がりで腐った柿を踏んでコケた事がある。そればかりかその足で柿を買いに走った。
別の日には植え込みの片隅に新鮮なバナナが一本だけ放置されているのを目にして、
やはりバナナを買って帰った。とても大きい房だったので、帰宅後頭に被って遊んだ。

こんなアホなら勿体無いお化けも見逃してくれ……るかなどうかな。くわばらくわばら。

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