幻覚

日差しが突き刺さる昼下がり。


不意にラムネの匂いが風に乗って窓の外から漂ってきた。
誰かがぶちまけたわけでもなく、
鍋でラムネを煮ているようなインパクトだ。

そのすぐ後を追うように、今度は爽やかな香気が部屋を吹き抜けっていった。
ハッキリ言って好みの香りだ。


きっとギャル男かチャラ男が焼きそば色の髪を振り乱しながら
ラムネを鍋で煮て時々忙しく踊ったり忙しく前髪いじったりするところを
ライブ配信しているに違いない。

だって夏だし。

暑いなんて言ったら負けなんだし。
狂うしかないんだし。



それが先週だった。

なお、今日はポマードこてこての上品なじい様が鶏肉のトマト煮を作っている。
しかし有り余る暴力的上品さの向こう側がちょっと焦げ臭い。
ジイサン!鍋!鍋!


夏だから誰もが狂うしかないが、
姿の見えないジイサンからは逃げたい。
嗅覚がツラい。

為す術がないので、こっちは火力全開で炒飯を作ろうと決めた。


そんな7月の終わり。

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